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ルー・リード/Berlin Live At St. Ann's Warehouse

2011年01月11日 15:30

【本記事は、作品よりも名前によるイメージが強すぎるため、それを払拭するために長文です。(それでも半分ほど削除した。)】
【特別思い入れがなければ映画を収録したDVDをお奨めします。】

Berlin Live at St Anns WarehouseBerlin Live At St. Ann's Warehouse/Lou Reed
(2008年リリース)

1.Sad Song (Intro)
2.Berlin
3.Lady Day
4.Men Of Good Fortune
5.Caroline Says I
6.How Do You Think It Feels
7.Oh, Jim
8.Caroline Says II
9.The Kids
10.The Bed
11.Sad Song

12.Candy Says
13.Rock Minuet
14.Sweet Jane




【この作品を一言で語るなら「敢えて映画は観たくない」】


 こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
あー、ルー・リードって名前とイメージ先行で、あんま、作曲能力や自身の曲も客観的に分析できる審美眼は着目されねーです。
まあ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの1stアルバムの功罪だと思いますが。

 個人的に、デイヴィッド・ボウイがプロデュースした『トランスフォーマー』、続く『ベルリン』、『死の舞踏』の流れは神懸かり的です。
ただ、当時のメディアの反応は冷淡だったよーで、『ベルリン』の草案を聞いた評論家は『トランスフォーマー』と同路線のグラム・ロックなコンセプト・アルバムを予想したみてーです。
Berlin.jpg
ほいだら、作風が全く異なった上に陰鬱なストーリーで「裏切られた」的な批評が多かったよーです。実際売れませんでした。(勿論、冷静に傑作と評価した評論家もいたようだが。)
んで、続く『死の舞踏』は、モデルや女優を目指してNYにやって来て落魄していく女性達をサリーっつー架空の人物に集約し、これまた陰鬱なストーリーです。
が、R&B研究家でもあるルー・リードは、ノリがええファンキーな曲でアルバムを固め、クセになる作品です。
こりを積極的に売り出さなかったレコード会社に「こんなに良い曲を売ろうとしてくれないのは残念」と癇癪起こして発表したのが、ギター・ノイズ作品『メタル・マシン・ミュージック』です。(ヴェルヴェッツ脱退の時も名曲揃いなのにプッシュして貰えず憤慨した過去がある。)
こり、後年本人は「あれは過ちだった」と素直に認めとります。
偏屈なしとらしいですが、アーティストとしては好ましい思考回路だと思います。
コアなファンは名盤扱いですが、「スカム/トラッシュの」が抜けとります。
ギター・ノイズを多重録音し数十分っつーのはやってる側は楽しくてたまらんのと、後年の作品で無駄じゃなかったと思える点がわずかにあるんで嫌いじゃねーですがね。

 さて、『ベルリン』にお話戻しまして、プロデューサーはアリス・クーパー、後にキッス、エアロスミス、ピンク・フロイド、ハノイ・ロックス等々を手がけることになるボブ・エズリン。
このしと、1970年代中期以降はハードロック系のバンドのプロデュースが多いですが、現在もピーター・ゲイブリエルと共同作業したり現役で多面的です。
んで、このしとがプロデュースや作・編曲に絡むと当時はゲストがとにかく豪華。
同年発表であるアリス・クーパーの『ビリオン・ダラー・ベイビーズ』はマーク・ボラン、ドノヴァンらが参加しましたが、『ベルリン』にはベースにジャック・ブルース、トニー・レヴィン、キーボードにスティーヴ・ウィンウッド、ボブ・エズリン、ドラムにエインズレー・ダンバー、ギターはソロ転向後のアリス・クーパーを長年支えたディック・ワグナーとスティーヴ・ハンター、他、ボブ・エズリン子飼いのホーン、ストリングスっつー超豪華な面子です。
てかね、スティーヴ・ウィンウッドにオルガンだけって、なんつー贅沢な。


【こっからストーリーです】

 主人公である「僕」はベルリンの壁の傍でキャロラインなる女性と出会います。
この回想し独白するとこが何度聴いても鳥肌もんです。

ベルリンの壁の傍
君の身長は5フィート10インチ
素晴らしい夜だった
キャンドルの灯りと氷を浮かべたデュポネ

-Berlinより


 しかし、キャロラインは破滅型の性格で、夜な夜な飲み屋で歌を披露しては客の一人とモーテルで売春をして生計をたてているという。
こりはLady Dayで歌われとりますが、僕ぁ下積み時代のビリー・ホリデイをモデルにしたと思っとります。
曲名が彼女の愛称レディ・デイですから。
Billie Holiday
 キャロラインは「僕」のことを単なるセックス・フレンドとしか見ておらず、突き放すような態度も見せます。
が、心優しい「僕」は「それでも彼女は僕にとって高貴な女王様だ」と諦めません。
そこへ一人の男が割って入ります。

 ジムという名の男はキャロラインを寝取るだけじゃなく、「僕」もジムもバイ・セクシャルらしく、二人も肉体関係にあったと匂わせるくだりがあります。
複雑で頽廃的な三角関係ですな。
んで、キャロラインに薬物を教えたと思えるくだりも。

 キャロラインは子供を身籠もりますが、誰の子かわかりません。
更に彼女もまたバイ・セクシャルであったことがうかがえる過去や、夜の街での行為から「母親としてふさわしくない」と周囲の人間は、彼女から生まれた子供を引き離します。

だが、彼女を責められはしない
落魄した街の女は客を選べないのだから

-The Kidsより


 荒廃した生活と、我が子を連れ去られたショックからキャロラインはベッドで自殺します。
自殺した夜を回想するThe Bedが終わると、時間は現在に戻り、Sad Songでキャロラインの写真を眺める「僕」は、その美しさと威厳は亡くなった今も変わりなく、連れ去られた子供と三人で暮らすことを望んでいたことも独白します。
んで、二人が暮らしていた部屋でベルリンを去ることを決意します。
Caroline.jpg

 なお、製作を振り返りボブ・エズリンは主要メンバーがノイローゼ寸前まで追い込まれたと語っております。
全曲の作曲と「僕」に入れ込みすぎたルー・リードは「精神的自殺を図った」と語ったっつー。
完成直後、「箱にしまって二度と出してはいけない」と思ったそーですが、いざ発表するや賛否両論。現在、特に日本じゃほぼ名盤として認識されとります。


【映画になった】


 2005年頃でしょーか、『ベルリン』の再現コンサートを行うとアナウンスされました。
で、2006年に実現し、その模様をジュリアン・シュナーベル監督の下、楽曲の内容とリンクした再現ドラマ風の映像と演奏シーンを絡めた映画が製作され2008年に公開されました。
で、僕、これ敢えて観てねーです。
『ベルリン』って、曲聴きながら、ブックレットの写真を見て脳内で映像を再生すんのが一番だと思ってますんで。
ただ、サントラと呼ぶのはもったいねー内容のコンサート部分だけを抽出した本作は聴きました。
スタジオ版とどっちがええかっつーと、どっちも異なる良さがあります。
しかも、The Bedとか単発でライブ演奏はしても、初の全曲再現はルー・リードにとって失敗したら単なる集金イベントですから、かなりストイックな生活をおくって挑んだと思われます。
この写真は、恐らく五日間に渡って行われた公演のうちいずれかの写真なんでしょーが、当時63歳とは思えない体です。
lou reed

 名作と呼ばれたアルバムの再現がブームだった事もあり、多くのミュージシャンに見られる衰えが心配でしたが、1980年代頃から変わってねーです。
まあ、喉を酷使するよーな歌い方じゃねーこともあんでしょーが。
んで、イントロでラストのSad Songの後半にリフレインするコーラスが始まり「え!?」と思ってるとBerlinが始まり「やられた!」と。たしかにSad Songで「僕」がいた部屋から回想が始まるんだもんな、と。
こり、最後に聴いてみてーと思いますが、こっからLady Dayへの流れはスタジオ版以上だと思います。

 主要な参加メンバーはギターに当時と同じスティーヴ・ハンターがおりまして、スタジオ版以上にハードロックなギターです。
ルー・リードもフィードバッカー(ペダルを踏むと人工的にギターがハウリングする。)使ってるとこもありますね。
昔、ハードロック調のサウンドとメンバーがルー・リードらしくないというこだわりあるレビューを読んだことあるんですが、本人はこういったギター・サウンドは好きみてーですね。
他、ストリングスやコーラス隊も豪華ですが、ブルックリン少年少女合唱団も参加してます。
僕が一番たまげてるのが、2003年の『レイヴン』ツアーからコーラスとして参加しとる、アントニー・アンド・ジョンソンズのアントニー・ヘガーティです。
『レイヴン』ツアーでもCandy Saysを歌ってましたが、歌唱力もさることながら、風貌だけじゃなく中性的な声が忘れられねーっつー。
Antony Hegarty
現在は太って長髪ですが、この画像の頃に生で見たら失禁しますわ。
本作の『ベルリン』パートが終了すると、ファン・サービスにCandy Says、Rock Minuet、Sweet Janeを演奏しとります。
Candy Saysは今回もアントニーが歌ってんですが、途中でルー・リードも参加します。個人的にアントニー一人の『アニマル・セレナーデ』収録のが好きです。
いつもなら?Sweet Janeやって、最後にRock 'n' Rollっつー、ルー・リードが「ヴェルヴェッツはこんな良い曲作ってたのになぁ」と言いたげな名曲連発ですが、『エクスタシー』収録のRock Minuetがあって嬉しい誤算でした。
<Lou Reed - Berlin~Lady Day(Live2006)>

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<Lou Reed - Berlin~Lady Day(Live2006)>
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コメント

  1. じゃぱ☆彡 | URL | -

    なるほどなるほど。。

    ごぶさたです。

    このアルバムはノーマークでした。

    全曲演奏はここんとこいろんな人がやってたのもあり、若干食傷気味感がありましたがハンクさんの話で聴きたくなりました。

    「ベルリン」はファーストアルバムのバージョンが好きでしたので、アルバム『ベルリン』バージョンに楽曲としての物足りなさも感じてましたし。

    しかしながら、近々購入します。。

  2. ハンク | URL | 3fP8K/.I

    Re: なるほどなるほど。。

    > 「ベルリン」はファーストアルバムのバージョンが好きでしたので~
    邦題『ロックンロールの幻想』でしたっけ?
    貸したら戻ってこない(ToT)
    あのアルバムは『コニー・アイランド・ベイビー』と同じくらい「もっと評価されても...でも一見さんには物足りないかも」と思いました。

    正直、上映前のトレイラーを今観ても映画のDVD欲しいです(笑)
    トレイラー観ると会場が中規模っぽいんで、CDの臨場感はあります。

  3. じゃぱ☆彡 | URL | -

    昨日買って聴きました。

    ギターがオリジナルより重圧でいいですね。

    ルーの在り方や歌い方が当時とほとんど変わらないので、まったく懐メロ感になってないですし。

    そんなこともあり『ニューヨーク』なんかも引っ張り出して聴いてます。。

  4. じゃぱ☆彡 | URL | -

    追伸。

    そうそうルーのファーストはあまり話題になりませんが、かなりいいアルバムですよね!

  5. ハンク | URL | 3fP8K/.I

    じゃぱ☆彡 さん>

    僕は『セット・ザ・トワイライト・リーリング』とか聴いてます(笑)
    後追い世代としては、『ニューヨーク』以降のアルバム再生回数のが多いです。
    てか、1970年代後半からの隠れた名作もデジタル・リマスターして欲しいですね。

    よく、「ルー・リードが来日した際、内田裕也が”日本人を舐めんじゃねえ!シャケノベイベー!”とルー・リードを殴った」という逸話を耳にしますが、ガチなんでしょうか?
    ガチなら一体、どんな流れで(汗)
    もし、ご存知なら教えてください。

  6. じやぱ☆彡 | URL | -

    アリスタ時代も

    紙ジャケで再発してるんで『ロックンロール・ハート』や『ストリート・ハッスル』なんかもリマスタされてると思います。

    あと聴いてるかと思いますが『ブルー・マスク』『レジェンダリー・ハーツ』も傑作ですよ。

    内田裕也さんとルーのいざこざは初耳です。

    二人の接点自体も意外な感じがしますが。。

  7. ハンク | URL | 3fP8K/.I

    Re: アリスタ時代も


    >『ブルー・マスク』~
    月並みながら、『ブルー・マスク』の布陣と、ほぼ一発録りなとこはベストです。
    『ライブ・イン・イタリー』がリマスターされたみたいですけど、二枚組にしてSister Rayとかお蔵入りになってるのも出してくれ、と。
    ロバート・クイン存命なら、轟音アンサンブルでライブ観たいです。

    > 内田裕也さんとルーのいざこざは初耳です。
    調べたら、出所はWiki?
    殴ったは伝言ゲーム的誇張で、「啖呵をきった」と内田裕也のエピソードに記されとりました。

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