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スカム・フィクション8~日の本一の戦擦使徒~

2010年10月23日 22:01

【超スカム歴史活劇!】

一.
 その昔、戦擦夏の陣(せんずりなつのじん)という、せんずり一大決戦があった。
諸大名が東西に分かれて繰り広げた、歴史的出来事であった。
当初は東西拮抗したものであったが、東軍を率いる抜川雁康(ぬくがわかりやす)の地道な外交と奸計により、気付けば西軍は丸裸同然であった。

 この西軍の劣勢において、孤軍奮闘した戦擦使徒(せんずりすと)あり。
洟垂煩苦伸髭(はなたれはんくのぶひげ)と言った。
とはいえ、累々たる自軍の屍を戦擦場にさらしての奮迅ぶりであったが。
瞬時の判断と、その勢いにおいて抜川軍旗本にまで迫ったものの、寡兵であったため寸でのところで力尽きたのであった。

 この洟垂煩苦伸髭の活躍は、遠くは九州にもいち早く伝わり、薩摩の当主、今田行久(いまだいくひさ)は、感嘆とした。

「古えにも聞かぬがせんずりぶり。洟垂煩苦伸髭、日の本一の戦擦使徒なり!」

洟垂煩苦伸髭と汁勇士(じゅうゆうし)の活躍は市井にも伝わり、講談師が脚色して話して聞かせたものだ。この活躍については、いずれまた。(いらねえよ。)

 しかし、洟垂煩苦伸髭は生きていた。
抜川雁康が秘密裏に「生きて捕縛せよ」と命じていたからであった。

「ふふ、わしの珍棒を皮までめくりあがらせたのは、おぬしで二度目よ」

煩苦は項垂れたまま黙していた。

「一度目はわしが未熟であった。が、今や歴戦のわしを追い詰めるとは、あの世で同じおかずでせんずりたいものよ」

雁康は人払いをし、影に潜む隠密らにも去るよう合図をおくったものだ。

「よいか、わしのために働けとは言わぬ。濃苦川なる姓を授ける。以後、身を隠しせんずりの発展に尽力せい」

煩苦は顔を上げ、雁康の顔を凝視した。偽りではない。
雁康は続けた。

「身を隠せとは申したが、変あらば濃苦川の姓の下、わしに助けを求めよ」

これに対し、煩苦は言った。

「有り難く玉掻く所存。しかし、忠誠を誓うとは限りませぬぞ?」

煩苦は学がなかった。”賜る”を”玉掻く”と覚えていた。
雁康は声も大きく笑ったものだ。

「狡猾なるものを飼い慣らそうとは愚者の驕り。野に放ち、その活躍を聞くが楽しみ。さあ、行け!

かくして煩苦は人里離れた集落へと旅だったのであった。


二.

 春においては、庭先に育った栗の木の下を歩く娘の恥じらいを見てはにやつき、秋においては、枯葉を箒で掃き栗を拾う。
この季節の変わり目に、煩苦はふと考えた。
人は季節の変化に心も遷ろう。果たして、己は器であるのか、心が体を操っているのか?
そもそも、森羅万象とはなんであるか?

「うっ!戦の古傷が!」(大丈夫か、コイツ。)

耳鳴りをおぼえ、頭をおさえながら、煩苦は思索することをやめたものだ。

 籠に拾った栗を入れ、屋敷に入ろうとすると、身なりのよい男が立っていた。

「濃苦川煩苦殿ですな?」

また厄介な。煩苦は思った。

「旦那、あっしはしがないちりめん問屋の隠居でございまして...」

男は制した。

「この屋敷はどう見ても商家の体をなしておりませぬ」

煩苦が追い返す口実を考えていると、男は土下座をし懇願した。
仕方なしに男の頼みを聞くことにした。

 差し出されたものは、一枚の人相画であった。
それはそれは麗しく、もしや目の前に現れたなら先ば汁がしとどに流れ出そうであった。
煩苦は浅はかな予想をもって言った。

「おかずにして欲しいおなごを言ってごらん」

男は首を横に振って言った。

「違いまする。そのようなことではございません!」

 男の悩みはこうであった。
差し出した人相画は男の妻であり、ある日突然、男の愚息が文字通りになったのだという。
つまり、不能である。珍棒が怒張しなくなったのである。
対する煩苦は人相画だけで痛いほどに怒張していたが、男はいかなる努力も無駄であったという。
そして、不能な夫に見切りをつけ、妻は他の男と毎晩まぐわうようになったのだという。

「ご覧くだされ、このような努力をしても怒張せぬのです」

風呂敷の中に入っていたものは、珍棒増大器、性生活に焦点をあてた蘭学書、春画、怪しげな薬等々、いずれも珍棒を怒張させる目的のものであった。
煩苦は笑いをこらえながら言ったものだ。

「まずは捨てよ」

「今、なんと?」

「捨てることから始めよ」

困惑する男に煩苦は諭したものであった。

「よいか、おぬしは財もあり、かような妻も娶った。しかし、それ故、窮すれば財に頼り、このような面妖なる道具や薬に頼ろうとする」

男は更に困惑した。

「し、しかし、己の力だけでどうせよと?」

「人とは不思議なもの。おぬしが思う己とは、果たして隅々まで思っているものか?もしや、己自身は器であり、無駄なものを捨てることによって何かが変わるので...うっ!戦の古傷がぁ!


三.

 二人は、不貞をはたらく妻と、絶倫たる男がまぐわう小屋へ向かったのであった。
その激しさたるや、煩苦は覗き見しつつせんずりをしたくなったものであったが、隣で頭を垂れた男を見るにやるせない気持ちにもなった。
煩苦は言った。

「己を信じよ。己は己でしかなく、あの、うぉっ、こりゃまた、いや、あの絶倫極まる獣のごとき男も己の鏡と思え」

男は首をかしげてたずねた。

「鏡とは?」

「赤の他人であろうが、あの獣性もおぬしの一面である。いや、おぬしが元来秘めているものと思え。さすれば、己が思っている以上に、自身が意外に強い存在であるかもしれぬのじゃ」

他人を敬うことも嘲笑うことも容易ではあるが、己の鏡として見ることは難しいものである。
煩苦は男を促したものだ。

「あの猛獣が、鏡にうつったおぬしの一面と思え。さあ、一喝してまいれ」

男は小屋の前に立つと、咳払いを一つして言った。

「おい、けだもの!即座に立ち去り、お絹を返してもらおう!」

小屋から野太い声が返された。

「うるせぇ!!邪魔すんじゃねえ!」

「あ、は、はい!」

煩苦は男の頭をこづいた。

「この、うつけ!見ておれ!」

そう言うや煩苦は、珍棒を扱きながら小屋の戸を開け、男の妻目がけて白い閃光を放った。

「痛い!」

閃光は男の妻の目を見事にとらえ、苦悶の表情であった。(ザーメンをうっかり目入れたりや鼻に逆流させると嫌われる。)
獣のごとき男が小屋から出てくるや驚愕したものだ。
弱気な男の珍棒が、血管を浮き上がらせ怒張していたからである。
獣は言った。

「す、すげぇ、俺のより大きいじゃねえか!」

獣は恐れをなして立ち去ったものだ。
煩苦は振り返り言った。

「見よ。一見絶倫、粗暴な男であるが、珍棒の大きさだけで恐れおののく小心者である。おぬしの暴の面が具現化したに過ぎぬ!」

男は痛いほどに怒張しながら答えた。

「我が妻が二人の男に嬲りものにされていると思い怒張したものかも知れませぬ。しかし、わかりましたぞ」

煩苦は満面の笑みで頷いて言った。

「うむ。さすれば元の鞘に戻りなされ」

しかし、男は怒張した珍棒をしまうと柔らかな笑みを浮かべ言ったものだ。

「煩苦殿。捨てよと申しましたな。よもや未練はござらん。かようなおなご、それがしの見栄、そしてそれが招いた不能でございました。お絹、おぬしはそれがしの人生にいらぬ」

金も置かず、自己満足な背中で立ち去る男。
これだから、下の相談は嫌なのだと煩苦は思った。
しかし、目の前に絶世の美女。煩苦は慰めるように声をかけたものだ。

「おなご、あのような薄情な男どもよりわしはずっとええぞ?」

「好みではございませんな。立ち去ってくださいまし」

男の名は濃苦川煩苦。
日の本一の戦擦使徒。
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