FC2ブログ

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

確立されたユーモアは奥が深い

2010年08月14日 06:54

 こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
あー、盆休みだからか、一日限定で「新作もDVD一枚80円」っつーことで色々借りてきました。
んで、チャールズ・ブコウスキーの長編『勝ってに生きろ!』を原作にした、『酔いどれ詩人になるまえに』を発見。
『ポスト・オフィス』より先にこっちが映画化されとったか、と。
で、やっぱ彼の作品は映像化が不可能に近いと実感。
可もなく不可もなしっつーとこでしょーか。
てか、翻訳者が違うだけで作品の印象がまるっきり変わる海外作家も珍しいわけで、『勝ってに生きろ!』は、個人的に「なんかしっくりこないんだよなぁ」なんですが。
『勝ってに生きろ!』で綴られてるエピソード色々を短編で読んでから手にした作品だからかもしれねーですが。(短編で細かく描かれていた出来事を端折っていたり、恋人の人物像が分散されている。『ポスト・オフィス』や『詩人と女たち』、『くそったれ!少年時代』よりも私小説色は薄い。)

 昔観た、『ドラッグストア・カウボーイ』のマット・ディロンがブコウスキー役っつーんで「これまた格好良すぎだろ」と観る前は思いました。
しかも、映画の原題が原作と同じ『Factotam』(「日雇い」や「なんでも屋」的なニュアンスが適当か。)で、主人公もブコウスキーが長らく分身として登場させたヘンリー・チナスキーである以上、ブコウスキーを意識した風貌じゃなきゃダミなわけです。
先日触れた『バーフライ』におけるミッキー・ロークよりはるかに真剣じゃねーでしょーか?
煙草を吸う仕草や、話し方、歩き方とか、かなり本人を真似てますし。モノローグは、流石に本業の詩人が確立した詩の朗読スタイルは「惜しい!」ですが。

 映画マニヤのしととは見方が異なるんですが、可もなく不可もなしと思ったのは、ブコウスキー作品の特色であるユーモアを潔く捨てたとこです。ただ、舞台が1950~1960年代のアメリカを思わせてるのに最新の車が登場したり、マーラー等クラシックを好んだブコウスキーですがクラシック音楽をラジオで聴きながら執筆してなかったり、バーで流れるBGMが1970年代ちっくなロックだったりすんのが残念です。冒頭の気だるいヴォーカル・ジャズで期待しちゃったんですが。
それ以外は過剰な演出もなく淡々と進行してくのは結構心地ええです。
てか、見終わってオフィシャル・サイトを見たら、日本での上映を記念して遠藤ミチロウやフラワー・カンパニーズらが参加したオムニバス・アルバムが作られたんですね。そーいったもんを作る雰囲気の映画じゃねーと思うんですが。

 ブコウスキーの持つユーモアっつーのは翻訳されたもんでも特有のもんが伝わってきます。
これが「映像化が不可能に近いんじゃないか」と思っとる点です。
彼特有のユーモアって古典的なのに、どこかシュールとかダダとか呼ばれるもんも混在しており、コメディアンなら爆笑させるよーなとこを控えめにさじ加減を変えたり、一筋縄じゃいかねーです。
実際、『バーフライ』で部屋を間違って自分の部屋の鍵を使ったら開いてしまい、そこで他人の部屋だと気付き、瞬時に冷蔵庫から食い物を盗み、しっかり酒も手にして部屋を出ると、自分の部屋に侵入してしていた男も出て行くとこで、お互い気付いていないっつーシーンがあります。
これ、すごい古典的なんですが、ブコウスキーが狙ったよーな、間とか場の空気が表現できてねー印象を受けます。
『バーフライ』以前に制作されたブコウスキー映画を「クソだな」と思うのも、B級とか以前に脚本がダミだからです。
DVD化されてねーですが、ブコウスキーの作品をベースにした『クレイジー・ラブ~魅せられたる三夜~』は中々笑かしてくれますが、「完全なオリジナルで作ればよかったじゃん」っつーベクトルが異なるもんです。
しかし、『町で一番の美女~ありきたりな狂気の物語~』がDVD化されててびっくりしました。ありゃサイテーです。確か、冒頭でサングラスをかけたキザな中年詩人がスカした口調で朗読するっつー爆笑シーンから始まった記憶があります。
ああ、そりゃブコウスキーは怒るわな、と。

 チャールズ・ブコウスキーっつーしとは、日本じゃ小説家、本国アメリカやヨーロッパじゃ詩人のイメージが強いよーです。
で、作風から「酔いどれ詩人ってかっけー!」と思っちゃうんですが、かっけーわけねーだろっつー。毎晩飲んで泥酔して寝る僕がそー思うんですから。
作品と人間性は関係ねーですが、「こういう面を描いたらええやん」と思うプライベートのエピソード多々あり。
同人誌を編集してた頃、過去に自分が投稿した詩をボツにしてくれた同人誌の主宰者がブコウスキーの同人誌に投稿してきまして、「アイツか!よし、こうしてやる!」と作品を生卵に浸したり無惨な姿にしたりとか。
またある時は「俺はアル中じゃないのか?」と心配になり、色々検証した結果(アルコール依存症ではあったろうが。アルコール中毒とはまた違う。)「よかった、アル中じゃない」と安堵したり。
実際、自身の分身が登場する小説で、そーいった醜い面や間抜けなとこも書いてるんですけどね。しかも過剰に。
ただ、郵便局に勤務していた頃の同僚によると、職場じゃまともな勤務態度だったみてーですが。(そのため、アングラ界で有名になった際、「こんな猥褻なものを書く職員はふさわしくない」と上司に呼ばれ、穏やかな口調で話す中年が現れたことに驚かれたらしい。)

 アル中作家っつーとダン・ファンテ。
学術書まで読み漁った少年ブコウスキーが、恐らく「俺は作家になる!」と思わせた決定打的作品『塵に訊け!』の作者、ジョン・ファンテのせがれです。
現在は更生したそーですが、彼の私小説『天使はポケットに何ももっていない』は、アル中時代に父親の死期が訪れ、葛藤する内容です。
作風は、ブコウスキー風なところもあり、泣かせる物語なのに不要と思える猥褻なくだりが結構出てきます。
飛行機で移動中、口を開けて寝てる愚痴たらたらなカミさんの口内に精液流し込んでやったり、セールスマンの仕事で訪れた女性宅のポテトサラダにこっそり精液を混ぜ込んでやったり。
アル中克服を決意したり、父親との死別後、明らかになった自分との共通点、作家を志すことを匂わせるクライマックス等に対する照れ隠し的な嘘かも知れねーですが、映画化するっつーんで、そーいったくだりはどーすんでしょーか?
気になって仕方がなく、早起きしちゃった次第です。
てか、明け方に起きて寝られねーって爺かって。
関連記事


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)



    QLOOKアクセス解析
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。