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映画『北国の帝王』ときどきブコウスキー

2010年08月10日 02:26

【注意】
ネタバレあり。しかし、それでも観て面白い。...と思う。


 こんつは、ハンキー・ドリー・ハンクです。
あー、...俺は男だ。口にしたことは守る。下ネタなしだ。(リー・マーヴィン調に。)
んなわけで、アメブロんときみてーな言論統制的なもんじゃなく、敢えて自分に「下ネタ禁止」とルールを設定。それはそれでおもれーです。
で、一発目。ヘミングウェイじゃねーですが「男だけの世界」。(ホモホモしいな。)
映画『北国の帝王』と、ちょっとだけ『オールド・パンク』(チャールズ・ブコウスキーの現存する映像を基にしたドキュメンタリー。)

 えー、僕、世界大恐慌時代の市井のしとじとの営みに興味があります。
そーいった世界を描いた映画作品って皆無じゃねーですかね。
映画に疎い僕なんで知ってるしとは教えてください。

 なんで興味があるかっつーとですね、僕が社会に出てから潤ってる業界はあれども、自活できる程度の所得で、世間様を「スーパーの特売日は忘れないぜ」的に見つめ、どんどん生活水準が下がってきているからです。
で、村上龍の小説『愛と幻想のファシズム』の世界ですと、現在の日本における完全失業率(まあ、中には働かねーで親に寄生してる奴も含むかもしれねーですが。)は小説中の失業率やら、株価の下落っぷりは「国立大学を卒業しても警備員の仕事にありつくのがやっと。高所得だった層の妻たちは街中で売春をするようになっていた」の域を軽く突破しとるのに、執筆された時代に想定されていたもんと現在とじゃ世界のセイフティ・ネットの目が細かくなってるでしょーし、小説みてーな悲惨なことになってねーです。まあ、だから小説なんですけどね。
あと、僕が政経に疎いんで、何故、まだ暢気に平和気分なのかわからんだけですが。。(しかし、時折触れるが、ホント、ここ一年くらいの日本、大丈夫か?)

 一部の業界だけじゃなく、あらゆる業界がどん底状態になった1929年に始まる世界大恐慌はガチで失業者どころかホームレスを全米に生みました。
たった一週間程度でそこまで没落しちゃった一因に株等の投資を政府が推奨したこともあります。高校あたりの授業で習った記憶があります。
これもまた、今は広めたのはメディアですが、数年前からそういった風潮があり、それが現在はもっとリスキーなもので、しかも若者向けに「直感と読み次第で楽して儲けられます」と煽ってる印象があります。
実際、投資等によって儲けてるしとは結構いるかもしれません。
が、世界大恐慌発生の翌日に十人以上自殺しとります。
で、果たして、1930年代のアメリカやアメリカ経済に依存した諸国みてーな状態になったら日本はどうなるのか?っつー。

 映画『北国の帝王』は、当時のアメリカ社会じゃなくてですね、ホーボーと呼ばれる無賃乗車で職を探しにいく旅人やホームレスに焦点をあてています。
これ、以前触れた『太平洋の地獄』で「リー・マーヴィン主演の映画観たい」と思った際、DVD化されてなくてですね、ずっと観たいもんでした。(去年やっとDVD化。)
で、これが想像してた内容とちょっと違いますが、予想以上におもれーです。男性限定ですが。同じリー・マーヴィン主演なら、ジェーン・フォンダっつー華がある『キャット・バルー』のが男女ともにオススメです。ジェーン・フォンダもといキャサリンの依頼に「ええ!?ちょっとまてよ」なアル中ガンマンの演技は秀逸です。

 劇中のホーボーたちは、知恵に長けたホームレスとして描かれてます。
んで、ホーボーの中にもプライドがあり、無賃乗車が困難な列車で旅をする者が英雄視されます。(くだらねえと思うだろうが、その点については後述。)
劇中の英雄は、リー・マーヴィン演じるAナンバー・ワン。
「北国の帝王」と呼ばれており、帝王が挑むは、僕なんかだとTVドラマ『エアウルフ』でお馴染みのアーネスト・ボーグナイン演じる、鬼車掌シャックの列車。平気で無賃乗車した奴をハンマーで殴り殺します。
Aナンバー・ワンは周囲が「絶対無理だ」っつー長旅を宣言します。
因みに、給水塔に書かれた「○○は○号車で○○まで行く」っつー宣言。この「名のあるホーボーが目標を達成できるか?」を賭博の対象にされてるあたりが当時の殺伐とした空気を感じさせます。
単なる強制労働させられる収容所の賭じゃねーです。電報打って「600ドルが上限」とか各地に知らせます。
劇中の捕まったホーボーが一日に支給される給与が2ドルです。それも警官が搾取するっつー。

 上映時間は約二時間で一般的映画の長さです。
が、舞台の殆どは無賃乗車する列車です。んで、「何故、こいつはたかが無賃乗車した奴の一人ごときにここまでご執心なのか?」っつーくれーシャックの行動は既に狂気です。
で、それをAナンバー・ワンは狭い列車のいたるとこで知恵を絞って無賃乗車を続けます。
この、「そういう展開なのね」と感心しつつも、「どのハンマーがホーボーを殴るに丁度良いか」試し振りするシャックの動きが滑稽です。(この演出はトーキー映画の手法らしい。)
あと、キース・キャラディン演じる育ちのよさそうな、社会のはぐれ者映画でよくいる「口だけのワル」であるシガレットがリー・マーヴィンの男くささを際だたせてます。

 監督は故人なんで、映画評論家が特典として音声解説してますが(これ、かなりマニアックで、「何故、このシーンでマーヴィンが大物に見えるか?それはこの眼差しの演技と貨物車の中で座っている位置にある」等、よくあるスタッフの思い出話とはちょっと違う。)Aナンバー・ワンは相当の覚悟が無ければホーボーは旅を続けられないことを熟知しているが、シガレットは1960年代にビートニクの影響を受けて旅を続けた若者のイメージとして登場させてんだそーです。
これ、1990年代に日本で流行った「自分探しの旅」をしてた若者に置き換えることができます。

 シガレットは、咄嗟の判断と行動にうつる知恵がねーです。
そんな彼にAナンバー・ワンは、色々教えます。
で、Aナンバー・ワンがミスをおかして「さて次はどの手を使おうか」と考えとりますと、シガレットはテメーが言われたことをAナンバー・ワンに言い放ち、自己陶酔します。
何気においしい役所です。
てか、Aナンバー・ワンのミスにつながる発端を作るのが大体シガレットなんすけどね。

 クライマックスで、怪我をしたシガレットが機関車の上でシャックに追い詰められます。
僕にとっては『エア・ウルフ』で観た爺さんが完全なキチガイ状態です。
AB_20100810021800.jpg

そこで、シャックの背後からAナンバー・ワンが「おい、俺が相手だ」と。
もうね、ベタなんすけど、いい流れです。
LM.jpg

んで、一旦は高架下へシャックを突き落とせるとこまで行くんですが「逃げるな!相手は俺なんだぞ?」と助けるっつー。男男してますな。
ここが最大の見所でしょーか。
テメーはただ見てただけなのに、「俺と組んでよかったな」と相変わらずおバカなシガレットを川へ落とします。
んで、きたよこれが。
「お前はひよっこだ、青臭い、ホーボーになれない小僧だ。鉄道は俺のものだ。以後、近寄るんじゃねえ!」みてーに叫び、「ホーボーにも誇りがある。お前は向こう見ずだが覚悟(心)がねえ!俺はどっちも持っている!と。
一見、「んなことに誇りがあるの?」っつーもんですが、上述のよーに放浪者にも誇りや知恵が必要な時代だったんだなぁ、と。
つまり、社会がそういった人間だらけになると、無言実行で名を売って、有言実行で偽りじゃねーことを示さねーと生きてけねーってことですね。

 この通奏低音になってる、ムーブメントに乗って旅をしていた当時(作品自体は1973年発表。)の若者に対する皮肉が、最後に「経験と知恵を備えた本物の旅人である」がAナンバー・ワンの声として総括されるんですね。
この考えは、チャールズ・ブコウスキーも同様のことを思っていたようです。
共に同人誌の編集を行っていたニーリ・チェルコフスキーの評伝によると「ヒッピー・ブームの頃、旅は何ももたらさないと否定的だったが、実は彼も青年時代に各地を放浪していたのだが」みてーに主観的な感想を綴ってる箇所があります。

 チャールズ・ブコウスキーは『北国の帝王』の舞台である1930年代前半は、まだ中学生くらいで、『北国の帝王』はオレゴンが舞台ですが、ブコウスキーは当時のLAを振り返り「ガキにとってタフな時代だった」と。
で、彼の自伝的小説『くそったれ!少年時代』の中で「仕事にあぶれた大人たちは、時間をもてあまし、日々の鬱憤から毎日喧嘩にあけくれていた」とか「不思議なことに、貧しくろくに食っていない学校のわたしたちの方が、裕福な家庭が通える学校の生徒よりも体が大きかった。既に体は大人になっていた」みてーな回想があります。

 チャールズ・ブコウスキーは、世界恐慌が収束したとはいえ貧しい家の出ですから、青年期は定職に就けませんでした。
んで、第二次世界大戦下(繊細な内面があり、兵士としては不適格とされ戦争には行っていない。)、ビートニク、ラブ・アンド・ピース、カウンターカルチャー全盛、現代とほぼ二十世紀の主要な時代を経験した彼は、特にラブ・アンド・ピースに浮かれるヒッピーに辛辣でした。
これは、クラシック音楽が好きで、酒と煙草は好みましたが、所謂レクリエーショナルなドラッグを嫌っていたりしたからかと(女性遍歴を綴った『詩人と女たち』では、メスカリンを勧められて油絵を描くくだりがあるが。)思っとりましたが、『北国の帝王』を観て、Aナンバー・ワン、いや、監督がシガレットに抱いていたのと似た感情があったからかと勘ぐりです。

 ドキュメンタリーとしてはイマイチですが、チャールズ・ブコウスキーが生まれてから亡くなるまでの、当時のアメリカの情勢等が挿入された『オールド・パンク』っつー作品があります。
Buk01.jpg

貴重なのは、12年勤めていた郵便局を辞め職業作家になってからの映像や、TVでのインタビュー、カミさん同席のインタビューで夫婦喧嘩し「このビッチが!」等々罵るシーンが収録されてることでしょーか。あ、朗読会の前に飲み過ぎて吐いてるとこもありますね。
Buk02.jpg

あと、色々な裏話がありますが、ファン向けです。
んなわけで、彼が目にしたどん底状態の少年時代と社会を綴った長編『くそったれ!少年時代』を映画化してほしーと思ってます。前にも書きましたが。
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コメント

  1. Eve | URL | -

    【北国の帝王】

    コレ以前に
    ケーブルTVか何かで
    やってて
    たまたま観るともなしに観たょ(途中からだけど)
    観るっていうより
    ただ流してたダケだけど
    車掌のオヤジのしつこさが妙に印象的だった

    記事みて思ったけど
    ちゃんと鑑賞すると
    深い映画だったんですね


    下ネタ禁止令だそうですがネタが下でも
    下でなくても
    面白いですよ、ハンクさんの記事。

    因みに
    今私は※禁欲美容を
    実践中デス(すでに限界)

    ※禁欲美容
    Sexもオナニーも禁じて
    ホルモンをコントロール
    する美容法

  2. ハンク | URL | -

    Re: ☆

    > 車掌のオヤジのしつこさが妙に印象的だった
    あの演技は秀逸!
    あっこまでキチガイじゃなかったら、凡作。

    > 深い映画だったんですね
    DVD特典はアメリカの評論家ですが、淀川長治の解説で観てみたいなぁ、と。
    「んまぁ、女がいない世界!このね、知恵比べに、近代化された映画でここまで工夫ができるのかと思ったんですねぇ」みたいな調子で(笑)

    > 面白いですよ、ハンクさんの記事。
    だ、だからといって下ネタは書かんぞ!


    > 今私は※禁欲美容を
    > 実践中デス(すでに限界)
    マンズリでもホルモン・バランスが変わるのですか?
    マンズリも奥が深い。おっと、いけない!
    すでに限界?ちょっと、あとでメールしますから。

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