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お題変わって『実験お話:刑事ヴィンセント』

2010年07月04日 21:02

【前回の続きです。】







<始めての方へ>


 これは、ハードボイルドちっくですがハードボイルド小説に不可欠な簡潔な描写と会話を省き、また、脚本形式も捨てた、「各登場人物による独り芝居で進めたらどうなるか?」という酔っぱらいの思いつきによるものです。








ノックノック。





ガチャ。





ハッ!宇宙人でも捕獲しに来たか?そのサングラスに帽子とスーツ、コート。


やあ、ジェイク。やあ、エルウッド。俺がマカロニハーブのせがれの件でお叱りをうけたヴィンセントだ。ヴィンスと呼んでくれ。


散らかっているが、まあ、適当にくつろいでくれ。


しかし、驚いたな。ネルソンが「腕の立つ奴ら」と自慢気だったから、俺は、そうだな、リー・マーヴィンのようなタフガイだと思っていた。


それがどうだ、なあ、オマエさんたち『マトリックス』に出ていなかった?違う?そうか。


娘が大好きでね、俺はどこが面白いのかまったくわからんが。俺が最後に観た映画は『チャイナタウン』だ。


シンシア、あー、娘のことだが、彼女は俺が仰け反って弾丸を避けられるから怪我一つしないと言ったら、俺のことを誇りだと言ってくれたよ。


逆に妻のリンダは最低の亭主だとくどいてたよ。


「よく惨殺死体と対面した後に肉が食べられるわね!アナタは犯罪者を罵倒してストレス発散できるからいいわ!アタシは誰に愚痴を言ったらいいのよ!」


そんな毎日だった。「今日も殺されたかと思ったわ!」とも。


ふぅ...すまない、滅多に客が来ない上に、五十も近くなると喋りたがるようだ...。


ネルソンから聞いていると思うが、今日から二週間は休暇であって休暇じゃねえ。


ドン・ペンネバジルが俺の命(タマ)を狙ってる。


Soul Kitchen(仮)







俺たちはチームだ。そして一人も殺させはしない。


そんなわけで、食事をしながらうち解けて信頼を築きたいが、事前に打ち合わせておくことにする。ちょっと待ってろ。





<三分後>





この見取り図を見てくれ。細かいとこは異なるが、ここら一帯のレストランは同じ建築家が設計した物件を借りて経営している。


もしもだ、運悪くペンネバジル一家が罠を張っている店に入ったら、だ。


俺を殺しに来る奴は、失敗しても厨房の奥にある裏口から逃げる。わかっていると思うが、そいつは捨て駒だ。追うな。追って仕留められるのは映画の中だけだ。裏口の扉を開けた瞬間、十人がかりで蜂の巣にされちまう。事が起きたら、いいか、ジェイク、オマエさんは厨房の前を塞げ。


厨房の裏口と逆にある事務所。ここが司令塔だ。ここに踏み込まれると厨房を塞がれてその奥にある冷蔵室に逃げるだろう。


だが、ここも用心だ。俺だったらそこに三人は待機させておく。十対三なら勝機は無いが、四対三なら勝ち目はある。


それから、無闇に撃つなよ。客に流れ弾が当たらないとも限らない。特に子供連れには注意をはらえ。わかったか?よし、じゃあ飯を食いに行くか。





<田舎風ナポリ料理の店マンモーネ>





エルウッド、オマエさんは運転マナーが悪いな。切符をすぐ切られるぞ?役にたつのはマフィアやらギャングを巻くときだけだ。ハッ!確かに腕は立つな。


この先はしばらくレストランが無い。この店にしよう。





ガチャ。





ホームレス一人にマトリックス二人。


おい、くすりともしなかったぞ。俺はユーモアに欠けるか?


しみったれた店だが、外食なんて久しぶりだな。毎日、ドーナツ、サンドウィッチ、ハンバーガー、ドーナツ、シナモン・スティック、サンドウィッチ...それにコーヒー。それの繰り返しだ。


ウェイター、コースとかすかしたもんはいらんからな。


まず、エルウッド。食パンをプレーンで?そんなもんばっか食ってるからノッポのガリ助なんだ。ピーナッツバターくらい塗れ。まあいい、軽めのもんがいいんだな?


じゃあ、タルティーネにしよう。


ジェイクは?...なんだって?もう一回言え。


ウェイター、Nyotaimoriを頼む。Nyotaimoriだ。


ん?...わかった。


ジェイク、Nyotaimoriは夜の店か日本に行かないと食えないそうだ。世の中には色んな料理があるな。俺もいずれ食ってみたいもんだ。


俺は「日替わりオススメ」にするが、ジェイクはどうする?同じのでいい?よし。


タルティーネ、それから「日替わりオススメ」を二つだ。


...ちょっと待て、重要なことを忘れていた。


タルティーネに乗っかてる具は?生ハムとゴルゴンゾーラ?


「日替わりオススメ」は?シュリンプ入りペンネ・アッラビアータ?そうか、冬には体を温める料理に限るな。





<五分後>





俺はよく事件の黒幕と偶然遭遇する。まさか一件目がそうだとは思わなかった。


「田舎風ナポリ料理」?ゴルゴンゾーラやペンネを使うナポリ料理がどこにある?ミラノだ。ミィラァノ。ハハハ!笑えよ!...ほんと、オマエさんたちジョークに厳しいな。


試しにあのウェイターに出身を聞いてみるか。「ソノ・イタリアァノ・デ・ミラァノ」と答えるだろう。正直者ならな。


ペンネバジル一家はミラノ出身だ。それから、チップを受け取った右手から硝煙の臭いがかすかにした。今日のためにしこたま訓練させられたんだろう。ハハ、急所に当たるかな?


いいか、ウェイターは料理をテーブルに置いた直後に銃を出す。ジェイクは厨房前を塞げ。エルウッドは客を蹴飛ばしてもいいから外に追い出せ。





<七分後>





ウェイターなんて失礼だな、名前は?フェラッチョだと?いやらしい奴め!


いや、すまん、フィラッチョ、許してくれ、ハハ、ハハハ...。





ターンッ!





鈍くさい奴だ。閃光一発脳天直撃。これなら俺は早撃ちで誰にも負けないぞ。


エルウッド、すぐに客を外へ!ジェイク、他の客の食い残しを漁るな!


それから、エルウッド、外に出たついでに車の無線を署に繋げ!





ドバンッ!





ハンッ!予想通りだ。事務所に司令官か!待て!





<おところ変わって冷蔵室>





よっぽど下っ端か?俺ならここに三人は忍ばせておくけどな。





ドスッ!ガスッ!





もやし野郎が!パンチ二発で銃を放すバカがどこにいる!


よし、俺は今からイタリアの英雄、ロッキー”ヴィンセント”バルボアだ!





ドッスドッスドッス!ガツン!ガガーン!





立て、立てよおら。


よし、今度は伝説のブル・ファイター、ジェイクだ。ラモッタだぞ!ジェイク、やれ!





ドカッ!パスパスパス、ガッツン!





ハッ!戦意喪失か。ジェイク、表に出るぞ。そのオシャレさんを引きずり出せ!気取ったミラノ野郎が!虫酸が走るぜ、この、ナルシスト!その悪臭は、あ、お香水ってやつか、アンハ?





<おところ変わってお店の外>





エルウッド、無線は繋がったか?よし。


ネルソン”くそったれビッチの糞”署長!早速殺されかけた!


蛇の目ネルソン、俺に知らないように監視をつけてることはわかってる。店の周りはペンネバジルのファミリーで一杯だ。とっとと段取りしていたパトカーを急行させろ!


今、ここに、俺の下調べにおあつらえ向けな小ボスがいる。


おい、名前は?...。


オッタビオ・ペンネバジル?ドンの息子か?次男?そうか、それはいい。


署長、ペンネバジルのせがれどもは、どいつもこいつも間抜けらしい。


パトカーは間もなく到着?そうか、そりゃいい。


おい、エルウッド、オマエさん得意のブルースハープで『ゴッドファーザー』のテーマを吹いてくれ。


ネルソン、失うもんがねえ男のやり方をよく学べ!マフィアがなんだ!





タン!タン!タン!





聞いたか?ドン・ペンネバジルのせがれをばらしたぞ!


ペンネバジルだけじゃねえ、関連してる一家を一掃してやる!俺は一人小隊だ!
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